「山の神」が「田の神」に変じる中間のようなモノが「野の神」なのかもしれません。二本の御神木を拝んだらまた元の「観音菩薩巡り」に戻ります。目標は黒田の白樫に近い「芋観音」と呼ばれる安念寺さんです。芸大美術館で拝観した時には衝撃でした。”何で芋観音なのか?”観音様を観ればすぐわかります。破損が過ぎて既に原形を留めていないのです。破損仏と云えば唐招提寺や大安寺が有名ですが、唐招提寺などの破損仏は長い歳月を経過する中で塗装が剥げ木喰い虫や鼠に齧られて原型を留めなくなったものですが、が安念寺の破損仏はは哀れを極めています。土の中に埋めて掘り起こすのが遅れたので腐ってしまい原型が全く解りません。多分「土に変わる直前」のお姿なのでしょう。まるで畑を掘り起こして「薩摩芋」が転がり出したように見えたので「芋観音」と呼んだのでしょう。里人の愛情が感じられます。私の友人にも「芋」とあだ名されている好人物が居ます。
先ず芋観音の写真を見て貰います。
これが安念寺の俗称「芋観音」です。写真の出典はJTB出版の近江の仏像をスキャン
これは「唐招提寺のトルソー」と呼ばれる菩薩立像、萱の一木で木芯乾漆像の中心木が露出したモノで乾漆像から木彫仏への過渡期を示す仏像です。此方は仏像の表面が破損して顕れたものですが。芋観音は本来木彫仏であったものが故意に土に埋められ腐りかけて居た時に掘り起こされたものと考えられます。
安念寺さんには電話がありません木之本観光協会さんからは管理人のご自宅の電話を教えられていますのでカーナビに電話番号を入れたり地番表示を入れたりして安念寺を探しましたがどうしても探せませんでした。どうも白樫の前の土手沿いに東に(伊吹山方向)行けば良かったようです。そのうち時雨も強く降り出しました。後ろ髪を曳かれるとはこのことで今日参詣しなければ一生参詣できないような嫌な予感もします。
木之本の西黒田地区を芋観音探して走り回る、折から時雨が強く降り出しました。私達はこの道を直進して川を渡って左に回ったのでしたが、家に帰って確認すると橋をを渡って直ぐ堤の上の細道を右に行けば良かったのでした・・・・「残念」。
木之本西黒田地区の木守柿。野鳥にとってはコッチの方が野神でしょう。里人が残してくれた食べ物で冬を越せるのです。
芋観音を探して西黒田の堤防を行ったり来たり。実は車の背後の位置に安念寺とその管理人のお住いが在ったようでした。
芋観音を探して木の本町西黒田を走る。前方の橋の袂に立っている幟は道筋にあるレストランです。右端の小山が「一宮」の鎮守の森で黒い梢が昨日案内した「野の神」の白樫の御神木です。
それにしても美しい里です所々黄色いお灯明の様に立っている黄色いのは銀杏です。銀杏はお寺が燃えない様に防火壁のような役割を期待して植えられたものです。こうして紅葉したお山を背景にして銀杏が染まっている景色は銀杏が観音菩薩を荘厳している様に思えます。
木之本町西黒田の里山の麓に集落が在ってその核にお寺が在ってお寺の所在を黄葉した銀杏の木が教えてくれます。写真左上の銀杏の木の根元に観音堂がありました。それが下の写真でした。
大銀杏を目標に走って、突き当りは小さな観音堂でした。実は此処で下車しないで折り返してしまいました。写真をよく見ればお堂の前に「芋観音は左」の案内が建っていたのです。観音様のご配慮に性急な私が気付かなかったのでした。また別に機会を作ってお参りする事にしましょう。この辺りは水上勉の小説の様に美しい里ですから次回は車では無くて歩いて巡る事にしましょう。
車窓を観ていて気づきました。刈り入れを終えた田圃ですがお米が稔って稲穂が垂れています。雀や鴨がこの孫生(ひこばえ)に実ったお米を群れて食べています。柿の実を食べているのは烏にムクドリです。烏やムクドリに較べれば鴨もスズメも可愛さが勝っています。
稲刈りを終えた切り株からは新しく芽が生えて二度目の稔を迎えていました冬鳥は日本の田圃にはお米が在る事を承知していてシベリアから遥々渡って来るのでしょう。稲にはジャポニカ種とインディカ種の二種類があります。ジャポイニカ種は丸くて粘り気がある事インディカ種は長粒米でパサパサしている事ばかりが喧伝されていますが、考古学的にはジャポニカ米は何度も収穫できる(鎌で稲穂を収穫すれば複数回収穫が出来る事が特徴です。縄文人は石包丁で稲穂を収穫していた、一方弥生人はインディカ米を持って日本に移り住んできた・・・」そんな仮説の根拠になります。
これは琵琶湖野鳥センターに群れる鴨です。琵琶湖の名物が鴨である事は日本の稲作がジャポニカ米で刈り入れ後に孫生(ひこばえ)が育って開花し上の写真の様に結実するので。鴨君がこれを食して丸々太るからでしょう。美味しいお米で育った鴨君が美味しいのは当然です。
此方は長浜城公園の湖岸に集う鴨君達、風に打ち寄せられた木の実や草の種を食べに鴨君は岸辺に集まって来ていますが、人や猫の気配がすると直ぐに沖に逃げてしまいました。向こうの尾根が比叡山比良山で島影は近江八幡の沖合にあるその名も「沖島」です。此処は人が住んでいます。
此処琵琶湖の名物は鴨です。「鴨」は未だ食べていません。腹も空いたので「鴨蕎麦でも食べに琵琶湖野鳥センターに向かいました。でももう一つ観音様を巡りましょう。
目標は赤後寺 (しゃくごじ)です。)此方も芸大美術館で拝観していました。
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