天皇皇后両陛下はベトナムとタイにお出かけされ3月4日お帰りになられるそうです。親日国の両国は日本と同じ仏教国ですし、食べ物もおいしい国で歓待を受けておいでのようです。もう1日タイでごゆっくりされたら良いでしょうに・・・。
ベトナムで歓待される天皇皇后陛下。出典:朝日新聞デジタルニュース
タイで前プニポン国王の慰霊弔問される天皇皇后陛下。出典朝日新聞デジタルニュース。
想いながらテレビの画面を見入りました。処で天皇陛下の御意向は昨夏ビデオで放映され国民は驚きました。美智子妃殿下でさえ「生前退位」の言葉に衝撃を受けられたそうですから、私の様な極楽とんぼがびっくりしたのは当然でしょう。国民調査の結果では
1、天皇陛下のご期待通り、生前退位を認める人が8割超、唯、
2、皇室典範の改正を含めて永久法の改正を行う(民進党)と現天皇陛下一代限りで実施する(自民党)の総じて2つの方策に分かれています。ところが国民にとっては未消化な問題が取り残されています。それは、
3女性天皇問題です。国民は『世界中に女王様が居られるのに日本は女性天皇は認められないのか?』不思議に思っています。有識者がアレコレ発言して論点整理に協力していますが。この論点未整理が最大の遣り残しなのです。ソモソモこの問題は歴史学者や比較宗教学者が専門にする領域ですから、委員にもその方面の碩学の意見を聴く必要があったし、学者も発言して然るべきでしょう。でも不幸なことに女性天皇の是非については論点未整理のママです。
【女性天皇を封印してきた理由】
女性天皇を封印してきた理由は明治憲法下1889年(明治22年)に制定された皇室典範にあります。その一条に
1、大日本国皇位ハ相宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス。
日本国憲法第2条(1947年)には上記明治憲法をそのまま継承しました。文語文を口語文に訂正しただけの安易な扱いでした。昭和22年、当時は昭和天皇を東京裁判の被告席に立たさせないだけだけで、精一杯だったのでしょう。
2、皇位は皇統に属する男系の男子がこれを継承する。
注釈書(皇室典範義解」ではその根拠を次の様に解説しています
皇統は男系に限り女系の所出に及ばざるは天皇家の成法なり。
要するに明治憲法を立案した長州藩の元勲が天智天皇の「不改常典」/(法令に依らないしきたり)。をそのまま採用したのです。私達が伊藤博文に何故「女性天皇は駄目なのですか?」訊けば、次の回答が寄せられるでしょう。
『天皇家は不文律のしきたりで15百年以上の長きにわたって天皇位の父子承継を続けて来ました。女性天皇が出現した時には例えば道鏡の時の様に社会が混乱したでしょう。女性を天皇に据えると社会が混乱して来たのですよ。』
そんな思想が日本国憲法の発想に逆行している事、世界のスタンダードとかい離しているのは明白です。
昭和22年日本国憲法の公布に際して、憲法と皇室典範の不整合問題は先送りしたのでしょう。今次自民党はこの問題を更に次の世代に先送りして、今上天皇のご期待に答えたいと考えたのです。方や民進党はこの機会に解決すべきだと考えたのです。
女性天皇の系譜は古代に6人8代、江戸時代に2人2代出現しました。私は日文研セミナーで江戸時代の女性天皇第109代明正天皇(1623-1696/島原乱の頃)と第117代後桜町天皇(1740-1813/本居宣長が活躍した頃)で勉強しました。そこで古代の6人8代を調べてこのブログで報告しました。初代女性天皇は推古天皇で17条憲法の根本思想を示されました、『和を以って尊しとなす』であり、女性天皇は推古帝に始まり皇極帝も持統帝も元正も元明帝も混乱を収めて和を大事にする役割を果たしてきました。古代の6人8代の女帝について調べると次の点が共通しています。それはじょていを決定した時の天皇家や有力豪族の共通認識だったのでしょう。
推古天皇像御名は額田部(ぬかたべ)、豊御食炊屋姫(とよみけかしきやひめ)。即位すると用明天皇の子であった厩戸の皇子【聖徳太子】を摂政として、蘇我馬子と適切な距離を取って古代大和朝廷に基礎を為します。17条憲法は世界最初の平和憲法でした。女性天皇だからこそ。この偉業を成し遂げたと考えます。
【8代の女性天皇の共通ポイント】
1、社会の混乱を収拾する時期に登場した。
2、女性天皇は直前には天皇の后であって、実績人物共に高い評価を得ていた。
3、女性天皇は后時代に天皇との間に皇子が在ったとしても、自身の皇子に天皇位を継承させない。例えば推古帝には敏達天皇との間に竹田皇子がいたが天皇位は舒明天皇に継承した。
4、女性天皇は天皇に就任後は誰も結婚しませんでした。ソモソモ天皇は神なのですから人間の夫と結ばれる筈ありません。
日本国憲法は平和国家を標榜するですから、女性天皇を否定するのは意味無しです。女性が天皇になった時代ほど平和で国民は平和を享受して来たのです。
国民は誰しも自由に結婚する事が認められています。天皇がたとえ女性であっても象徴であるには結婚の自由も認められずばなりません。この問題は国民の眼には「愛子様と悠仁様」が写ってしまいます。人気投票ではないのですから生前退位問題は皇位継承問題緻密で冷静な施策を期待したいものです。女性天皇の場合次点も考慮しておく必要があるでしょう。
1、近親結婚を回避する事。これは倫理の問題であると同時に科学の問題です。劣性ホモ遺伝子が重なることは産まれて来る子供に対して許されない事です。
2、配偶者の天皇家における地位や役割、名称。
女性天皇が民間人を結婚相手に自由に選んで、それが何世代も重なれば、次第に天皇家の血が薄くなってしまいます。天皇位が建国の血であることを軽視して、国民の代表文化の象徴と割り切ればそれも良しでしょう。何れにしても難しい問題です。女性天皇問題をもう一歩突き進めて検討して欲しいモノです。
桜井よし子氏は「天皇家の親族の意見を確認して」云われておいででした。普段は反中国反韓国の右翼的発言の目立つ同氏ですが、流石に天皇問題になると正鵠を射たご意見です。
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