2月7日は夜半から暴風雨が吹き荒れました。
今年の春一番は春の嵐です。
これで、遅れていた梅の開花も進む事でしょう。
そして、楽しみは湘南の砂浜歩きです。
大風が楽しみを運んできてくれている筈です。
私は、先日の経験から逗子海岸に出かけました。
逗子海岸風景。正面が江ノ島。浜辺を走っているのは逗子開成の生徒達。
若干の人が砂浜に出て、”拾い歩き”をしています。
若いカップルがガラスの破片を拾っています。
長い歳月をかけて、波がガラスの破片の角を削って、磨いて”サンドグラス”を作ります。
サンドグラスを拾い集めて、アートを作ります。
”愛の合作”は花瓶になるのでしょうか?
それとも大皿になるのでしょうか?
二人はとても楽しそうです。
逗子の海は春らしい”光る海”、手前は不如帰碑(徳富蘆花)人はヨットやサーフィンで、
鵜も碑の上で春を喜んでいるようです。
叔父さんが桜貝を拾っています。
長靴を履いて、手には熱帯魚屋さんが使っている小さな網を持っています。
網を使って、波が運んでくる桜貝を掬うのです。
スタイルからして私とは違います。
もう、ビニール袋の中には大量の桜貝が拾われていました。
こんなに拾ってどうすのでしょうか?
気懸かりです。
叔父さんが拾った桜貝。
嵐が海藻を運んだのでしょう、大量の海藻が砂浜に打ち上げられています。
海藻を拾っている人も見られます。
勿論、若布(わかめ)を探しているのです。
湘南の旬は何といっても若布です。
でも、若布は滅多に見つけられず目に付くのは荒布(あらめ)ばかりです。
両社は見分けがつき難いのです。
私は早速に荒布(あらめ)と若布を見分ける要領を聞きました。
メカブを見れば判るんですよ・・・・、
海藻の根元を見るように教えられました。
海藻の根元には花に似た生殖器があって、其処から胞子が出てきます。
若布で最も美味しい部位です。
若布は若女とも書きます。
私は納得すると共に妙な妄想に陥ります。
私が拾った若布、一株でもこのボリュームでした。
私も”湘南の旬”を食べたい・・・・・、一心で荒布をひっくり返して見ます。
暫くして、一つ、大きな若布を見つけました。
大喜び・・・・・・、でも収穫後の用意はありません。
ビニール袋でも持参すれば良かったのに・・・・。
仕方なくタオルに包んで、持ち帰ることにしました。
湘南若布は漁業権が設定されています。
厳密に言えば持ち帰る事は許されないのでしょう。
でも、一株だけ、慎ましやかな夫婦の一食文だけ・・・・・、許して下さい、念じて持ち帰りました。
茹で上げた若布。上部のメキャベツのような部位がメカブと呼ばれる生殖器(花)です。
自宅では、先ず茹で上げました。
褐色の若布が瞬間に青葉若葉の色に変じました。
マジックを見るような驚きです。
同時に部屋中に磯の香りが充満します。
”慎ましやかな夫婦の一食分”と思いましたが、一株で1週間分近くありそうです。
今晩食べる分を残して、ベランダで干す事にしました。
ベランダの物干しに干された残りの若布
若布の酢味噌和えを食べながら・・・・、家内に思い出話をします。
関門大橋の下に若布の神社があります。
名前は和布刈神社(めかり)です。
旧暦正月元旦の日の午前3時、干潮の磯に出てメカブ(和布・ワカメの花)を採取します。
メカブを神前に供えて海産物の豊作を祈願します。
古代人にとってはワカメの生殖器は驚異であり畏怖される存在だったのでしょう。
石の性神は各地にあって、道祖神と呼ばれますが・・・・・、
磯の神はワカメのメカブだったのでしょう。
そのメカブは朝廷にまで献上されたそうです。
私の晩御飯、ひじきに若布(右端)、何れも好物です。
神社の脇には古い料亭の「枕潮閣」があります。
磯料理の名店で、伊藤博文の書などが残されています。
勿論湘南のワカメは関門海峡の枕潮閣に負けない春の味でした。
メカブの部位は明日の晩に戴く事にしましょう。
逗子の砂浜は年配にとっては「春の海」であり、若い人にとっては「光る海」であります。
誰もが楽しめる別天地です。