胃癌の摘出手術が終われば、次はリハビリです。
先ず、問題は大傷を負った胃腸で食事をすること・・・・、
食べ方の指導を受けて、重湯に始まり、お粥を戴きます。
ダンピング症状を起こさないよう、恐る恐る食べ物を口に入れます。
実は私はヒャックリこそ出ますが、ダンピング症状は今日までの所発症していません。
O医師に聞いたところ、食道と胃の間に腸を入れたこと、12指腸のバイパスを用意したこと・・・・、
はダンピング症状対策でもあったのでした。
朝晩の食事を終えると、私は1階のロビーにおります。
そのベンチに腰掛けて読書に時間を過ごします。
其処が最高の読書空間なのでした。
誰にも邪魔されないし、ガラス張りの明るい空間です。
加えてベンチは緑陰にあります。
朝は食後10時頃、外来客が増える迄、夜は夕食後8時頃まで読書をロビーのベンチで楽しみました。
湘南鎌倉総合病院建物。右手がロジェマン(マンション)高層塔の左右に男女が 分かれていて、クロス部分にエレベータとナースステーションが設置されています。
湘南鎌倉病院は1988年沖縄徳洲会の第25番目として、鎌倉市山崎に建設されました。
湘南モノレール町屋駅の近くですが、立地としては最高とは言えなかったでしょう。
2010年9月鎌倉市岡本に移転し、病院名に「総合」を加えて、湘南鎌倉総合病院にしました。
鎌倉ロジェマン(大型マンション)の背後、武田薬品との間には鉄工所があったと思いました。
其処に病院の建築が始まりました。
設計は「日建設計」、施工は熊谷組、矢板で囲まれた建設地には看板が建てられていました。
”リゾートホテル”でも建てようとするのかな?
そんな取合せだと思いました。
建築途上も、まさか自分がこの病院にお世話になるとは露とも思いませんでした。
湘南鎌倉総合病院のロビー。
湘南鎌倉総合病院のロビー。向かいのマンションがロジェマン。外来客が座って精算や薬の配布を 待っています。驚くほど早く事務は完了します。奥がシースルーエレベーター。
玄関を入ると吹き抜けの大空間が待っています。
ロビーは4階までの吹き抜けなのです。
壁は無垢の木目板で、床はベージュの大理石で、
南国の樹木が植えられています。
とりわけ竹の葉が優し気です。
奥にはロビーを見下ろせるようにシースルーのエレベーターが設えてあります。
エレベーターの乗って上階(6階~15階)はホテルのルームだろう・・・、推測させます。
筆者は朝食後、夕食後このロビーのベンチに座って読書を楽しみました。
日本人の感覚からすれば、健康の時は”ハレ”で、病気になれば”ケ”という事でしょう。
ハレ(晴れ)はケ(曇り)の始まりであり、ケ(穢れ)はハレの始まりです。
病気になれば行動を抑えて控え目に過ごす他ありません。
ですから・・・、病院は陰気であるのが普通でした。
薄暗い空間と、特有の病院臭と・・・・・・、入院するとなればそれも覚悟の上です。
そんな常識からすると、湘南鎌倉総合病院は反対の”ハレ”の空間です。
それを端的に表すのがロビーの大空間です。
私の病室は8階の消化器外科病棟でした。
エレベーターに乗ると、2階から4階までが様々な検査室が続きます。
5階には手術室があって、6階が「お産センター」です。
エレベーターのドアが開くと赤ちゃんの鳴き声が聞こえます。
エレベータの乗員は赤ちゃんの泣き声に思わず笑顔になってしまいます。
湘南中の妊婦がこの病院で出産しよう・・・!
決めているのは多分ロビーの空間を見たときに決めたのでしょう。
お産は現代人の感覚ではこれ以上嬉しいことはありません。
゛ハレ”でありましょう。
だから、病院こそ”ハレ”であって然るべきでしょう。
私は手術の前にこんな質問を受けて驚きました。
「手術中のBGMは何にしますか?」
全身麻酔の私がBGMに耳を傾ける筈がありません。
BGMが選べるのなら、執刀医のO医師の好みを聞けばよいのに・・・・・、
でも・・・・・、バロック音楽にしてもらいました。
ロビーの植木は総て本物で、時々パラッと葉が散って来ます。落ち着いた寛げる空間でした。
湘南鎌倉総合病院のモットーは「命だけは平等だ」と記載されています。
患者の立場では「総ての患者は差別されることなく最適な治療を受ける事ができる」・・・、
経営目標が其処此処に記載されています。
ですから、患者は毎日の健診結果を確認することができます。
私は検診の度ごとに自分のデータをパソコン上で確認できました。
定期健診では血液検査の三分の一は「要注意」だったものが・・・・、2箇所しか赤塗りはありませんでした。
入院中に血液が軽くなりました。
唯、赤塗りが二つ、一つは血糖値が110台にとどまっていること、もう一つは・・・・、
炎症反応(手術跡を治癒しようとする体の反応)でした。
主任医師が「超順調」と評してくれました。
私の医療データはパソコンに打ち込まれLANで確認することができます。
患者は基本憲章で自分のデータを確認することができます。
リゾートホテルのような寛ぎの空間、設備は最新の医療機器を揃え、明確な経営目標の設定を決め、、
各組織毎にはより具体的な目標を設定し・・・・・、その結果を公表しています。
もう、浸透したISOがこの病院の経営には確認できます。
私が読書していると、目の前を沢山の人が通り過ぎますた。
顔を上げると、民族服を着たインド人が施設の見学に来ていたのでした。
”ああ、医療は日本の先端産業になるのか、何れインドや中国の患者がこの病棟を埋めるのかもしれません。
病院という文明は随分変わりました。湘南鎌倉総合病院は実感させてくれます。
いずれこのロビーでコンサートでも開くことでしょう。
それもまた、楽しみです。
大型バスで施設見学に来たインド人の一行。
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