10月に鎌倉若宮大路の段葛の再整備工事が発表され、11月から工事が始まった。総工事費は6億円余り、負担は八幡宮が2割で、過半は国庫補助と地元神奈川県と鎌倉市が3割という事でしょうか。工事費の大半が公費ですから市民や国民の期待通りの事業でなくてはおかしいと思います。(ネットで調べると若宮大路は県道です。ですから今次の工事主体は県で実施主体は鎌倉市になるのでしょう。)
明治20年の若宮大路(出典横浜開港記念館)
大正7年段葛を修復染井吉野を植樹する。
現在の段葛桜の元気が無いのは段葛自体に問題があるのではなくて両側の車道がアスファルト舗装されているので根が傷んでいるからです。計画では300本(現状)ある桜が180本に減数されるそうです。加えて東西の横断歩道も半減され、車椅子も乳母車も入れなくなるそうです。
今鎌倉市民が問題にしているのは、段葛に乳母車や車椅子が入れない事、バリアフリーでない事と段葛を東西に横切る歩道が減ってしまう事です。
新聞発表からして八幡宮が実施しました。八幡宮の感覚では段葛は八幡宮の私道なのでしょう。
八幡宮の発表は段葛は八幡宮の参道であり、森厳な神社の一部であると確信しています。
だから、段葛を横切る道など認められない事になります。でも、段葛の東側の商店にとっては死活問題です。横断できなければ客数は半減してしまうでしょう。
若宮大路を造ったのは頼朝でした。武士の都を造営するに際して、由比ヶ浜に南面した山の中腹に武士のシンボル石清水八幡宮を遷座して、その奥に政所を設営しました。八幡宮の権威のもとに武士の忠誠心を纏めたのでした。
山がちな鎌倉を造営して宅地にしたので、鎌倉の町は何時も洪水だったのでしょう八幡宮を参詣するには泥道を進まなくてはなりません、そこで若宮大路の中央を少し高くして段葛を造りました。
大正時代になって段葛の両脇に300本のソメイヨシノを植えました。ですからもうじき100歳になる桜並木ですが。最近は傷みも激しく、我が国を代表する観光地としては寂しい限りです。それに染井吉野が枯れた後には、早咲きの河津桜を植えたので、さくらのパッチワークです、桜は揃って咲かなくては美しさも半減です。
今回の改修の目的の一つがこの桜の復活ですから、どんな桜をどのように植えるか計画が必要です。河津桜、玉縄桜、染井吉野など候補が幾つもあるでしょう。素人目に見ても桜の元気がない理由は明白です。若宮大路の全面がアスファルト舗装されているのです。アスファルトの下に張った桜の根っこは蒸されていることでしょう。アスファルトを剥がして石畳にするか浸水性アスファルトにする必要があるでしょう。弾桜の根元を占めている躑躅は桜に良くないので撤去するそうです。躑躅の後は草花(菜種やひがんばな)を植えるのでしょうか、それとも萩にするのでしょうか?気になります。
この機会る狛犬はどうにかならいでしょうか?
弐の鳥居の左右に阿吽の狛犬が並んでいます。
八幡宮の弐の鳥居前に並んだ阿吽の狛犬。右の阿像の狛犬の劣化が激しく鉄骨が錆びて裂け目から錆が滲み出ています。
阿の狛犬の台座に狛犬の出典がプレートで案内されています。昭和36年(1961)に小野田セメント(現太平洋セメント)が奉納したもので、彫刻家の山脇正邦氏の製作になり、材質は白色セメントで造られていますさくら。白色セメントは石膏のように真っ白で劣化もしないと言う事で。当時積極的に売り出されたものでした。焼結温度が高く、白い顔料を混ぜたものでした大船観音像も白色セメントで作られました。私が中学の頃、白色セメントは青白く光って横須賀線の車窓から眺めると薄気味悪いものがありました。小野田セメントは八幡宮の狛犬に始まり各地の仏像やマリア様建物の擁壁にこの白色セメントを活用したのでしょう。でも作ってから半世紀で劣化が目立ち狛犬にはd裂け目が出来て裂け目から鉄錆が滲み出ているのです。この機会に狛犬も新作寄贈してもらったら、良いのでしょうが・・・。更に鳥居の耐震化も実施してほしいものです。
此方は状態の良い吽形の狛犬さん
此方は白色セメントの裂け目から鉄錆びが滲み出てきた阿形の狛犬さん。この台座に制作者や寄進した小野田セメントの名が刻まれた皮レートがあります。
鎌倉の歴史は八幡宮を中心にして展開してきましたし。鎌倉市民のシンボルは何といっても八幡宮であることに間違いはありません。
でも八幡宮の改修は八幡宮の専決事項ではないでしょう。工事費の八割は公費で支援してもらう以上は鎌倉市民や国民御期待に沿って工事計画を進めなくてはならないと思います。
段葛は八幡宮の参道であると同時に日本一の遊歩道(緑道)にするようにしてほしいものです。現在雪洞は八幡宮境内だけですが、段葛まで拡げて菱いものです。
例えば段葛に沿って自転車専用道(人力車兼用)を整備するなどすれば桜の根が張るうえでも有効だと思います。段葛に縁台を出してお団子や、蕨餅を食べてみたいと思うものです。弐の鳥居前にお札サービす。(お札を求めたりお返ししたり)身障者にとっては有難いものです。トイレも気になります。(20分間歩き続けでトイレがありません。)
八幡宮の改修をすれば今後数世紀はこのままでしょう。大正の桜工事は良かったにしろ、平成の改修はどのように評価されるのか、市民の善意がすべて参加できるようにしてほしいものです。私は白色セメントの欠陥だけは見落とせません。